アルスラーン30年

『アルスラーン戦記』(田中芳樹著)の完結巻『天涯無限』を、このほど読む機会を得ました。

ワタクシ的アルスラーン史

『アルスラーン戦記』は、中世ペルシアに似た国を舞台としたファンタジー小説です。
若い王アルスラーンが、16人の勇者に支えられながら平和な世を目指す物語。ファンタジーといっても、怪物や魔道士などはあまり登場せず、王位争い、領土争いを主とした人間ドラマってとこかな。
1986年から2017年にかけて全16冊が刊行されています。30年で16冊だから、かなり遅筆です。

私が1巻目『王都炎上』を読んだのは1989年で、すでに5巻目まで出ていました。で、その5冊をほぼ一気読み。
それからは新刊が出るたびにぽつぽつと買いそろえていましたが、9巻『旌旗流転』(1992年)でストップ。次がなかなか出ないので忘却のかなたへ。そんなに熱心なファンでもなかったし。
アルスラーン戦記

10巻『妖雲群行』(1999年)を図書館で見つけたのが、2001年秋。前巻までがどんな話だったか全く記憶にない状態で、ちょっと前から読み直しました。
私がアルスラーンを買っていたころは、会社勤めをしていて、図書館に行く余裕などありませんでした。というか、公共図書館で本を借りて読むという発想がなく、読みたい本は買うしかなかったのです。収入がなくなり、ヒマばっかり増えてからは、本は原則「借りて読むもの」となってしまいました。
以後、アルスラーンも図書館でと思っていましたが、なかなか巡り合わず、装いを変えた11、12、13巻をまとめ読みしたのが2012年。当時の読書メモを見ると「妖異の比重が増して、ファンタぽくなってきた」とあります。サブキャラが死に始めたのがこのころのようです。16人は多すぎだから減らしたいのかなー、と。

2018年9月、アルスラーンが16でとうとう完結したことを知り、そういえば、13までしか読んでなかったと気づき、14と15を借りて読みました。貸出中だった16巻は予約したけど、私の前に二十数名の予約者がいて、半年経った2018年3月、やっと対面の運びとなりました。タダで本を読もうとすると、忍耐が必要なのですよ。
最初の出会いから30年・・・長かったような、あっという間だったような。

そして誰も・・・

完結編を首を長くして待ったというわけでもなかったのです。結末を知りたいような、知りたくないような。

というのも、15巻のカバーにある著者コメントに、登場人物を次々と殺していくことを楽しんでいるかのような文があったのです。15巻でけっこう多数の人物が命を落としていました。これが加速するなら気分悪いなあ。

案の定、最終巻では、死屍累々というか、死山血河というか、とにかく死者まみれ。無名兵士やザコモンスターはむろんのこと、メインキャラの2ランク下くらい(?)の、どうでもよさそうな人物を次々とひっぱり出してきて、まるで殺し忘れていたヤツはいなかっただろうかと、入念にしかもあっさり、ザッパサッパと斬り殺していく。血なまぐささよりも潔さを見て、かえって爽快って印象を持つ人もいそう。実際の話、暗さは感じないのです。

なんだか『水滸伝』みたい。
そういえば、1巻の著者あとがきに、

「ブリテン列王記」に、「三銃士」とか「鉄仮面」とか「南総里見八犬伝」とか「水滸後伝」とかの要素をまぜあわせて

とあります。私は『三銃士』と『鉄仮面』は子ども向け翻訳で読んだ記憶はありますが、ほかは知りません。ストーリーが破綻気味といわれる『水滸伝』では、108人のキャラがバタバタ死んでいくんですよね。

ならば、

1.誰が誰を殺すのか。
2.生き残るのは誰か。

読みながら予想を立てていこう、と。

1はわりと外れた。私はヒルメスをあまり買っていなかったので、メルレインあたりでいいんじゃないのと思っていたけど、作者にとってヒルメスはもっと大物でした。
2はかなり当たった。妥当な線ってとこか。

結局のところ、この展開この結末で良かった、いや、これしかなかったような気がします。
アルスラーンが諸悪を亡ぼし、国は安泰、嫁さんもらって跡継ぎ作って・・・てな先行きが見える話、誰も読みたくなんかないでしょ。

黒騎士

天涯無限 アルスラーン戦記 16 (カッパ・ノベルス)

独りよがりな内容で、アルスラーン戦記をご存じないかたにはどっちらけだったかも。たいへん失礼しました。:o

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