ほんとうは偉い横断歩道

スーパーに行く途中のできごとです。

交通量がやや多い道で、少し先を行く女性が横断歩道のない場所を横切ろうとしました。それで私も同じように横切り始めたのです。
突如彼女はくるりと引き返し、横切るのをやめました。車が1台近づいてきたからでしょう。私がいる場所はまだ大丈夫と思い、ささっと渡ったところ、その車はパトカーでした。
「そこの人、横断歩道を渡りなさい。警察です」とマイクで注意されてしまいました。
どうやら件の女性はパトカーを認めて渡るのを中止したようです。私は視力弱くてはっきり見えなかったのです。

葬儀社の警告

わざわざ「警察です」なんてくっつけなくてもいいでしょうが。小心な一般市民をはずかしめるヒマがあるなら、歩道に乗り上げてでんと駐車しているクルマを取り締まれよ。内心毒づいていたら、目に留まったのが、街路樹にくくりつけられた看板。
横断歩道を渡りましょう

あたりを見回して、ははーん。
そこには○×葬儀社の駐車場があり、通りをはさんだ向かい側に斎場の建物があります。そしてその場所は、信号つきの横断歩道2か所のちょうど中間点。どちら側からもけっこう離れているのです。
駐車場で車から降りた人は、横断歩道まで遠回りするなんて手間をかけず、そこを突っ切って斎場に向かうに決まってます。

葬儀社は苦肉の策として、『横断歩道を渡りましょう』の私設看板を設置したのでしょう。葬式に来た人が車にはねられて死んだら寝覚めが悪いもの。死者が増えるのは大歓迎? いえいえ、遺族はこの葬儀社は験が悪いからと、よそを使いたくなるはず。

この看板、今はありません(思い出しつつ作った合成写真です)。
おそらく「無許可看板はアカン」とお役所からクレームがついたせいです。その後しばらくの間、葬式の最中だけ『○×斎場の駐車場はこちら』というやや大きめの看板が置かれるようになりました。その隅っこには『葬儀が終わり次第撤去します』との断り書きがありまして。その看板もじきなくなりました。またまた行政指導?

横断歩道の威力

それはともかく、お客さんの身を案じるなら、どうせ無視される看板などより、こそっと横断歩道そのものを作っちゃったらどう? 通行の絶えた真夜中、速乾性の白ペンキで太いラインを引けばできあがり。私設横断歩道だなんて、誰も気づきゃしないって。

が、横断歩道の構成要素は白線だけじゃなかった。
横断歩道標識
この標識を偽造するのは、いささかホネですなあ。

そもそも、苦労して横断歩道を作って、効果はあるのでしょうか。

道路交通法には、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしていたら、車両は停止しなければならないという規定があります。歩行者がいるのに無視したら違反なのですよ。
信号がなくても横断歩道は強いんだ。

しかしながら、とある調査によれば、そのような状況で実際に停まる車は、ほんの数パーセントだとか。
私はその法律があることを知って以来、しばしば強引に渡って車を停めたりしますが、ちょっとひやりとすることも。
一般に歩行者だって命が惜しいから、途切れるまでじっと待つケースが多いと思います。
結局、横断歩道って弱いんですねえ。
パトカーにはそういう車こそマイクでじゃんじゃん注意してほしいね。

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